炭の種類と製法

炭といえば黒いのが当たり前に思えるのですが、製法の違いで呼び名が色々有ります。
炭の最高傑作と言われる備長炭は白炭と呼ばれますし、茶の湯に使われるのは黒炭とよばれます。白炭と黒炭の違いは、原木と焼く温度と焼いた後の火の気仕方にそれぞれあります。白炭は原木がカシやナラなどの硬い木で、高温で焼き上げ消化の時に白い消粉を使い、
それが表面についているので白炭といわれます。火付きは悪いけれど一度つくと火力が強くて、火持ちも良いので料理に使えば遠赤外線効果で、食材のうま味を逃がしません。
うなぎ屋さんや焼き鳥屋さんでよく見かけます。

一方黒炭は原木がクヌギ・コナラなどの軟らかい木で、軟らかくて軽く火付きが良いのが特徴で、白炭よりも低温で焼きます。火付きが良くて火力が強いので早くお湯が沸くので茶道で使われています。この茶道の作法の習慣が火鉢・火箸などの道具類の発達にも影響を与え、釜や五徳なども発達していきました。

絵画に使われる炭

木炭は人類が発見した最古の画材ですが、現在の画用木炭は軟らかい材質のキリやアジサイなどを長さ19センチにそろえて、ガス炉で6~7時間600~700度で製造した物が、一番良質とされています。ところで日本画の絵の具の黒にも、油煙や炭粉が使われています。

化粧品としての炭

平安時代の頃は女性だけでなく、男性も眉毛を抜いてぼかした眉を引いたり、形を整えていました。この眉を描く事を引眉と言いますが、この眉墨に使われたのが炭なのです。
材料としてはキリ炭の粉が使われていたようですが、最も上質な眉墨は素焼きの土器の中で、ムラサキグサの花弁を黒焼きにして砕き、そこに油煙と金粉を少し入れてごま油でとろ火で練った物だそうです。
他にはオハグロの墨、髪染めの墨がありました。
クレオパトラはアイシャドーとして、炭の粉と青色の顔料を混ぜて油で練った物を使っていたと言われています。

研磨剤としての木炭

焼き方や原木によって硬さの異なる炭を製作できるので、漆器の研磨の為に作られました。
また金、銀、銅や七宝などの金属研磨用としても利用されてきました。

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